21世紀に入って「安全・安心」という言葉がマスコミに頻繁に登場するようになりました。
「安全・安心」もしくは「安心・安全」という言葉が全国四紙(読売、朝日、毎日、産経)の見出しでどの程度使用されているか、その回数を年度ごとに比較した調査があります。そこでは、1990年代に年数十回だったものが2005年以降には年間2000回以上使用されており、この10年程で急上昇しています。
アメリカの心理学者マズローは、安全に対する欲求とは生理的欲求の次に位置する欲求であり、ヒトが誕生したときからの低次な欲求であると説いています。
科学、技術の進歩は、こうした人間としての根元的な欲求・要求を満たすべく、安全で安心して暮らせる社会の実現を促してきたはずでした。
ところが、この10年余り、人災による大事故、凶悪犯罪の多発、異常気象がもたらしていると思われる世界規模で頻発する災害、将来不安の高まりなどで人々がイメージする「安全・安心社会」は脅かされ、いまや、「安全・安心」が世の中を語るキーワードの一つになった観があります。
安全で安心な生活・経営を確立していくためには、個人にとっても企業経営にとっても保険という仕組みは有効、有用なものですが、だからといって保険は万能ではありません。
もともと保険にはなじまないリスクも数多く存在します。たとえ財務的な補填がなされても、災害、事故後のダメージの大きさに悩み、苦しむ人もいます。
保険に入る以前の問題として、保険を活用するような事態、災害に至らないような環境づくりや方策の検討が、まず優先されるべきです。
個人の生活や企業経営を問わず、リスクには、自動車保険や火災保険のように目に見えるリスクとともに、日常では気付きにくいリスク、目に見えないリスクが存在しています。
法人の例ですが、長引く不況にもかかわらず、繁忙であった半導体の部品工場が火災に遭い、数億円の損害が発生しました。この工場はしっかり保険に入っていたため、休業損害も含めて損害額は全額が補填されました。在庫水準も2カ月分ほど抱えていたために経営陣は、危機は何とか乗り切れると考えました。
ところが、最新の機械をオーダーして設置、操業まで6カ月を費やしました。ようやく工場は再開できたものの、売り上げは災害前の50%にまで落ち込んでしまいました。
部品発注先の数社が、この6カ月の間に他所の工場と取引を開始してしまったからです。
その後、この経営者は、災害時、機械を新規に発注、設置するよりは圧倒的に短期間で早期復旧する技術を持った会社があることを知りました。
この災害復旧専門会社の技術を活用していれば、今回のケースなら1カ月程度で復旧が可能だったと思われます。そうすれば得意先も失わずにすんだかもしれません。
こうした事例は、企業にとってのリスクマネージメントやそれに基づいたBCP(事業継続計画)がいかに重要かを物語っています。
個人の例としては、働き盛りのころ、万が一の際の必要保障額を大きく上回る保険金額を設定して長年に亘り高額な保険料を払い続けた人が、60代になって保険料を払い続けることができなくなったので解約というケースが見受けられます。
日本人の年齢別死亡率を見ると、60歳までの死亡率は4%未満であり、60歳で生存している人の平均余命は男女ともに20年を超えています。この数字は、万が一がなかった場合のリスクについてどう備えればよいのかを問いかけているようです。
お客様のリスクに対する許容度、受容度は一様ではありません。
私たちが、お客様の許容、受容の程度に応じた助言、対処を実行するには、お客様のリスクの程度を良く知らなければなりません。つまり、リスクがあるか・ないかということではなく、どの程度の健康上の被害や経済的な損害が起こりうるのか、実際に被害を受けている人は何人ぐらいいるのか、お客様が損害を受ける可能性はどのくらいあるのだろうかというような定量的な視点が必要になります。
「安心いちばん」の事業目的は、【安全・安心社会の構築に貢献する】ことです。
私たちは、お客様の立場に立って、リスクの程度に応じた資源の投入について助言させていただくことはもとより、お客様がまだ気付いていないリスクを洗い出し、お客様の真に安全で安心な生活・経営の実現に努めることをお約束いたします。